めまい症状が出現した場合、末梢前庭系に問題があるかを確認するためにビデオヘッドインパルス検査(vHIT: Video Head Impulse Test)を実施することは有意義なことです。vHITでは、頭部の急速な動きに伴い発生する前庭動眼反射(VOR)を測定します。頭部を回転したときに、被検者が視標を固視できるかを確認します。視標を固視しておくためには、眼球の動きは頭部の動きと同じ角速度で逆方向へ動かなければなりません。前庭機能障害がある場合、眼球は頭部の動きに追従し、その後、再び視標に戻すために視線を補正します。この代償性眼球運動を「サッケード(saccade)」と呼びます。

vHITでは、6つの半規管に加えて、三半規管から眼球までの経路(前庭動眼反射経路)も評価することができます。カロリック検査や回転刺激検査とは対照的に、vHITでは非常に速い動作(1-4 Hz)に対する反応を評価します。

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ヘッドインパルス検査(HIT)は、ベッドサイドで臨床的に実施できます。ただし、検査者は肉眼で確認できるサッケード(overt saccade)、すなわち頭部の動きの後に出現するサッケードしか検出できません。頭部の動きの途中で起こる隠れたサッケード(covert saccade)は肉眼では捉えることができません。しかし、ビデオヘッドインパルス検査(vHIT)では、covert saccadeをVORゲイン値と同様にグラフ上ですぐに確認できます。EyeSeeCamでは、vHIT実施中に適切な頭部回転角速度を通知するため、より正確に検査を遂行できます。なお、ベッドサイドで検査する場合、頭部回転角速度を確認することはできません。

インターアコースティクス社製「EyeSeeCam」では、ビデオヘッドインパルス検査(vHIT)を実施できます。

EyeSeeCamの主な特長を以下に示します。

  • 黒い瞳や明るい部屋などの悪条件でもアーチファクトを抑えて瞳孔を捉えることのできる眼球追跡機能
  • 3つの異なる時間における瞬間ゲインの計算
  • VORゲインと非対称値の計算
  • ゴーグルの滑りを検査画面上で確認可能
  • 適切な頭部回転角速度による検査の遂行

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販売名:EyeSeeCam vHIT用眼球運動計測装置
医療機器認証番号:228AKBZX00108000

  • 頭部回転角速度と眼球運動速度の波形が鏡のように重なり一致した状態
  • Overt saccade、covert saccadeのいずれも検出されない
  • 3つの異なる時間における瞬間ゲインが正常範囲内
  • VORゲインの非対称値が正常範囲内

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前述のとおりvHITでは、肉眼で確認できるサッケード(overt saccade)と、肉眼では捉えることのできないサッケード(covert saccade)のいずれも明確に検出できます。

左の検査では問題がなく、右の検査でサッケードが検出された場合は、右の前庭機能低下があることが示唆されます。頭部回転では両側の半規管を刺激しますが、頭部が急速に回転した場合には、動かした方向の半規管のみを検査できます。

多くの被検者では、最初はovert saccadeが出現しますが、時間の経過とともに代償行動を習得し、covert saccadeへ発展していきます。しかしながら、overt saccadeしか出現しない被検者や、最初からcovert saccadeが出現する被検者も少数ながら存在します。

異常例(overt/covert saccade):

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