検査の実際と標準データ | ダイアテックジャパン



VRAでは一般に、検査者と検査アシスタントが協力しながら2人で検査を行います(中澤, 2023、杉渕ら, 2024)。しかしながら、日本では2人で検査を行うことが難しい場合も多いため、検査者1人で検査を実施できる方法についても説明します。

音の呈示前に玩具やぬいぐるみなどで気を引き、被検児の顔が正面に向いている状態にします。

音の呈示前に玩具やぬいぐるみなどで気を引き、被検児の顔が正面に向いている状態にします。

条件付けで最低2回連続で振り向き反応が得られたら、本検査を開始します。素早くレベルを下げながら(例えば20dB下げるなど)、振り向き反応が得られるかどうかを検査します。反応がない場合はレベルを5dB上げ、反応が得らた場合はレベルを10dB下げます。これを繰り返し行い、3回のうち2回振り向き反応が得られたレベルを最低反応レベル(MRL)、つまり閾値とします。
開始周波数や検査周波数の呈示順序は被検児の状況に合わせて調整します。例えば、高度難聴が予測される場合は低周波数から開始したりします。一般的によく実施される検査周波数の呈示順序は、以下の2種類です。
2 kHz → 500 Hz → 4 kHz → 1 kHz
1 kHz → 4 kHz → 500 Hz → 2 kHz
できる限り、低周波数と高周波数をそれぞれ1周波数は検査できるように考慮して順序を決めます。インサートイヤホンを使用する場合は、左右交互に検査し、両耳の反応を取れるように工夫します。
検査中は、検査音の呈示間隔が一定にならないように気をつけます。長いポーズをとると擬陽性反応がないかどうか確認しやすいでしょう。音場スピーカーによる音の呈示で反応が得られるかを先に確認してから、次いでインサートイヤホンやヘッドホンによる左右個別の閾値検査に移行します。

課題が難しすぎる(発達遅滞)
十分に興味がわく課題でない(精神年齢が高い)
聞こえない音(閾値より小さい音)で条件付けトレーニングをしている場合
条件付けが十分にできていない
擬陽性反応を反応として捉えている
時間を有効に使用できていない(閾値から離れたレベルの測定に時間を割いてしまっている)
防音室内にいる保護者が音の手がかりを与えている(音が呈示されると動くなど)
子どもが正常聴力であることを願ったりなど、検査者の偏見
検査の途中でうまくいかなくなった場合は、条件付けトレーニングを再度行う、検査音やトランスデューサーの変更、代替えの評価手段(他覚的検査)などを検討します。

VRAでは、音場において得られた閾値は、成人閾値(0.5~4 kHz)よりも 10 dB高いとの報告があるため、最低でも25 dB HL(成人閾値15 dB HL相当)まで検査することが必要です。
BSAガイドラインでは、25 dB HLを正常聴力とみなしています。
